na:me

2022/08/09 00:30




わたしが初めて描いた命名書ー。
それは、息子:咲杜の命名書です。

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名前は夫婦で話し合って、生まれる前にお互いの両親に「さくと」と名づけることを伝えていました。

母子共に健康。
順調にすくすく育っていたのですが、7ヶ月頃から逆子がなおらず。
予定帝王切開が決まり、産休に入ると同時に生まれる日が決まりました。

生まれる日も決まり、入退院の日にちも決まり、出産準備は順調に進んでいったのですが……

名前の漢字が決まらない。

いろいろ夫婦で漢字を出し合うも絞れない。
(この頃「宿題ね」と言ってお互い日中に漢字と意味を考え、夜ご飯のときに発表し合う、というプレゼン会をやっていました。笑)

出産の日も迫ってきた頃、夫方のご両親から、退院の日にお七夜を兼ねてご実家で簡単な食事会をしようとお誘いいただきました。

恥ずかしながらそのときまで「お七夜」という行事を知らず、調べてみると
「生後7日目のお祝い」
「名前のお披露目」
「命名の儀」
…とありました。

なるほど。
ちょうど「名前の読み」は伝えているけど「漢字」は伝えていない。
この日に伝えたらいいね、となり、命名書を用意しよう!となったのですが、ん?どっちが書くの?と止まりました。

夫婦どちらも字が得意というわけではない…。

どちらかというと…ということでわたしが用意することになったのですが、筆が進まず。

「絵だったら得意なのになぁ〜」

…と、思いながらふと、プレゼン会の資料が目に入りました。

わたしは夫に候補の漢字をプレゼンするのに漢字のイメージをスケッチブックにメモ書き程度に描いて伝えていたのです。

『無理して書かなくても、得意な絵で描けばいい。』

『お七夜が「名前のお披露目」なんだったら、漢字と読みだけじゃなくってなぜその漢字を選んだのかもわかるように描けばいい!』…と、お腹に落ちて。

この頃、商品やイベントのロゴを描くことを仕事にしていたので、
「想いを込めて描く」
「文字をデザインする」
は得意なことでもありました。

描きながら、
「森(杜)のように豊かで実りある、笑顔の花を咲かせてほしい」という想いにたどり着き、
【咲杜(さくと)】と名付けました。

お七夜の日。
この命名書を見せた瞬間、父と母は【花が咲く】と【森】に気付き、文字を見ながら、名前に込めた想いを聞いてくれました。

そして「いい名前だね」と言ってくれました。

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命名書は必需品ではないかもしれません。

お七夜もやらないおうちがほとんどだと思います。

だけど、生まれた我が子の名前を伝えるときは必ずくる。
自分の両親に、夫の両親に、兄弟に、友人やお世話になった方々に。

そのときに、名前の読みと漢字を伝えるために命名書があるのだと思います。

そしてそのときに、「名前に込めた想い」も同時に伝えることができたら、
その名前は、たくさんの人に、より一層愛されるのではないかと思っています。

そんな「親から子への名前に込めた想い」を伝えるお手伝いができたら嬉しいです。

想いを描く命名書
ネイムデザイナー
太田 英華